三線を始めて1曲弾けるようになると嬉しくて、ついつい色々な曲に手を出してしまう。
しかも若い頃に少し聴いていたから、なおさら。
「あっ、これも知ってる、これもこんな唄だったね。」
工工四があるとそんなに難しくは無い。でもそれは本当に歌えたってこと?
那覇に住む友人のOさん。彼も、師匠の門下生。
とても面倒見の良い、心の優しい青年だ。
私がまだ師匠のおっかけだった頃からのお付き合い。
その彼に言われたことで鮮明に覚えている言葉がある。
今ではいつも肝に銘じている言葉。
三線初めて半年くらいのとき、嬉しくてメールのやり取り。
「昨日この曲やったよ。今日はこの曲が歌えるようになったよ。
あの曲も好きだから次に練習しようかなと思っているの。」
「僕らは毎日三線の音があって、いつでも出来ると思うからあまり一生懸命しないよ。
大和の人は真面目だからねぇ。でもね、早く覚えた歌は早く忘れるよ。
ゆっくりでいいからじっくりやっていってね。唄を消費しないで。
永~く愛して、深~く愛して。」
頭ガツンと殴られたような気がした。すごく恥ずかしかった。
出来ることが嬉しくて、
すごいねぇと褒められたくて、
そうだ、
なんで焦る、なんで急ぐ。
何百年という時間をかけて八重山人が愛して育んできた歌を、
昨日今日三線を触ったばかりの私が「歌える」なんて言える筈が無い。
もっと謙虚になろう。
この後すぐに三線クラブと出会い、今一曲に二年かかる。
でもまだ歌えない。